名前は伏せますが、某TV局で ボロボロの家を建築家の手法によって大改造を施し 素敵な家に生まれ変わらせる…という内容の人気番組があります。
ここで、ちょっとした裏話を。 実はこの某番組に出演した工務店、僕の知っている限り、 大半が「破たん」に追い込まれています。 番組のエンドロールには決まって、工事にかかった費用が発表されていましたが、
あれは嘘です。
テレビ受けや宣伝を考えてなのか、危険を承知でアクロバットな工事の嵐・・・。 プロの目からみるとそれはやりすぎだろう、という内容や 絶対に採算が合わないような内容の工事のオンパレード。
TVに出演して有名になって、設計料はしっかり確保できる建築家は良いでしょう。 スポットがあてられるのは建築家だけで、工務店は赤字を抱え、その結果、破たん―。
これは 大げさな話ではなく、実話です。
見た目は素敵なリノベーションですが、アクロバットな工事をしたため 建物に無理が生じ 漏水や傾きなどの問題も出てきます。
一番の被害者は施主でしょう。
建物の被害を受けるだけではなく、TVにでて有名になってしまったため 恥ずかしい思いをして過ごさなければなりません。 全部がそうとは言いませんが、僕の知っている限り 僕の知人が2人、工務店が3組 破たんしました。
最近よく耳にするようになった「リノベーション」。
パッと見は素敵かもしれませんが、 これから中古物件を買ってリノベーションを検討されている方は、以下に注意してください
①誰が提案しているか?
建築業者といっても様々な業者が存在し、だれに相談していいかわからないと思います。 まずは 各業者のウラオモテについて ご説明します
・不動産会社…情報収集力はピカイチ。だが、建築については基本的には素人。 当然、建築については建設会社まかせで責任なし
・建築家…センスは抜群に◎。だが無理な提案が多く 工事内容と予算がかみ合わない事がしばしば。軸組に関して素人が多い
・工務店…構造体に無理のない、手堅い工事をする反面、センスが野暮ったくなりがち
やはり各業者一長一短ありますが、ILAでは各業者の良いところを研究し、 どの分野にも属しない「第4の建設業者」として機能してまいります
②昭和56年以降の新耐震基準の建物かどうか?
昭和56年以前は、明確な耐震基準がなく、建物は大工さんの経験と勘で軸組を考えて 建てており、また当時はベビーブームによる住宅供給過多のため 質が良いか?ときかれると正直かなり微妙で、当時の大工さんの腕の良し悪しによると思います。
建物には耐用年数があります。 木造の場合 法定耐用年数は22年。 耐用年数を超えると、実際の生活に支障はないとしても 資産価値としてはゼロという事になります。 「中古物件をリノベーション」することで資産価値があがるかのような 過剰な営業には気を付けてください 物件を売却する時に、売却価格に上乗せできるという意味での付加価値はあるかもしれませんが、 決して資産価値が上がるわけではありません。